ワーパパ日記

仕事と家庭の両立をよくばる

欠けているから、愛おしい

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※以前、自分がnoteで書いたものをこっちに転載(+少し修正)してます
(noteの方は削除済)

 

NHKプロフェッショナル仕事の流儀「庵野秀明スペシャル」が凄まじかった。面白すぎてリアタイ時に1回、翌日の昼休憩時に妻ちゃんとも1回、さらにまた1回、んで今この日記を書くにあたり1回、計4回観ている。

 

まず庵野さん、PCデスクトップの壁紙をモヨコさんの絵にしていて可愛かった。しかも画面の中央に絵があって、左右は真っ白でそこにファイルなどのアイコンがいっぱい。おそらく絵の上には意識的にアイコンを置かないようにしていて、モヨコさんへのリスペクトと愛を感じた。

 

「アニメーションってエゴの塊だから」「自分の外にあるもので表現したい」と、絵コンテを作らずモーションキャプチャーを用いて面白いアングルを探す、それも自分ではなくスタッフに探させる、でも結局は自分も動いちゃう流れ、天才感・変人感が出まくりで思わず笑ってしまった。全ては庵野さんのシナリオ通りに(?)周りのスタッフが戸惑い、苦悩するシーンも面白く映っていた。物凄く気を遣って質問している感じや、庵野さん不在時に愚痴り合うところなども。また、作品の製作過程においてオールイエスマンじゃなく不評意見もしっかり出ていて(社内アンケート。あれは匿名制なのかな?)、それに対して庵野さんが脚本から作り直すのも興味深かった。

 

「その原点、いつも何かが欠けていた」今回この番組で一番印象的だったくだり。事故で片足をなくして、世の中を憎んでいたお父さん。体の一部が壊れて取れているロボットの絵を描いていた子どもの頃の庵野さん。「欠けているから、愛おしい」エヴァ庵野さんの原点を見た感覚。物凄いよね。

 

「もうここで人生終わってもいいっていう 誰かに影響を与えたり永遠に残るものを作るんだから 終わったところで死んでもいいぐらいの覚悟と勢いと仕事の密度で取り組んでいたんです あのころ」

 

上記は画コンテ・脚本担当の樋口真嗣さんのコメント。ナレーションでも言っていたけど、常軌を逸している…。プロフェッショナルを超えて狂っているとも言える境地。てかアニメ版の最後、あの作画はあえての演出説を信じていたけど、制作が追いつかなくなったからだったのね(ナレーションいわく)。あと、旧劇場版の実写映像シーンで映る「庵野殺す」の書き込み、現実はもっと酷いものだったのね…。「自分の命より、作品」と思っている庵野さんに対して「どうやって殺すか」を書いていた人たちは今回、シンエヴァをどう観て何を想うのだろうか(観ない選択は絶対ないと想う)。

 

プロフェッショナル関係者の皆様、番組史上最長4年間の密着、お疲れさまでした。ここに一人、放映中に映画館にまで行くつもりはなかったけどやっぱり観に行こうと思った視聴者が存在していると記しておきます。ちなみにうちはNHK受信料も払ってます(妻ちゃんが)。

 

誰かがtwitterだったかで言っていたように「観ないと自分の人生が完結しない」感、何となく解っちゃう。悔しいけど。そんな作品は他に思いつかない。あと、これも誰かが多分twitterで言っていたけど「観ることが出来ないまま死んだオタクも少なくないだろう」。気付けばそれぐらい長く、年月は経っていた。

 

「作り上げることが最優先」「完成したら次の仕事しないと」この辺りは正にプロフェッショナルって感じだと思ったけど最後、庵野さんは完全に否定と言うかその言葉を嫌っていたのも笑った。何その終わり方。

 

「さようなら、全てのエヴァンゲリオン」リアルタイムで映画館で体験する価値は大きいと思っている。